2017年3月16日木曜日

週刊葛生 第六十一号 Arrow rocks上陸編

 みなさんこんばんは。博士1年のMです。

 今日は、ニュージーランドシリーズの続きです。


 忘れないうちに、まじめな調査の話をします。

 今回調査に行った場所は二箇所あるのですが、先に行ったのはニュージーランド北島NorthlandのWhangaroaと言う町に近いArrow rocksと呼ばれる島です。Oruatemanu島とも言われます。

 ここにも、私が日本で調査しているチャートや粘土岩と同じように陸から遠く離れた深海底で堆積した地層が残されているのです。一方、日本で見ている地層よりもかなり南で堆積したことがわかっています。同じ時代の、似たような深海底、ただし遠く離れた場所で堆積した両者を比較してみようと言うことです。


 さて、前置きはそれくらいにして、

 Arrow rocksは陸からわずかに離れたちっぽけな島なので、宿泊していたWhangaroaから釣り船をチャーターして行きます。空模様は怪しげですが、とにかく出発。


空は不穏。。。

 Whangaroaは細長い湾の奥で、Arrow rocksは湾の入口にあるので、30分ほど穏やかな湾を進みます。
湾内は波が静か。

 湾の外に出て、船が大きく揺れ始めるとArrow rocksが見えてきます。


差し渡し100~200 mの小さな島。

 釣り船では島に近づけないので、浴槽くらいの小さいボートに移って上陸します。



 さてさて、ここから露頭写真来ますよ。


 一番下側の地層は、海底で噴出した溶岩(玄武岩)です。ところどころ石灰岩が取り込まれています。未固結の石灰質堆積物に溶岩が貫入したと言われています。


玄武岩(黒い部分)と取り込まれた石灰岩(赤い部分)。

 その上には、あれ?


珍客。いや、こっちが珍客で向こうは常連か。
 予期せぬ出会いがありました。オットセイの仲間でしょうか?体長は2 m以上あるやつで、起き上がって吠えてきた時はちょっと戦慄しましたが、うまく間合いを取りつつ海に追いやることができました。


「もう、人間はキライ。」
 近づかない方がお互いのためですね。


 玄武岩の上側には、赤い泥岩、そしてチャートがあります。
赤色泥岩(奥)と赤色・灰色チャート(左)。そして宇都宮大のグループ。

 日本の同時代の深海堆積岩は粘土岩なのですが、ここではカッチカチのチャートなんです。

 チャートは、下の方は黒や灰色が目立ちますが、上に行くにつれて赤いチャートばかりになります。


黒や灰色のチャートから赤いチャートに変わる部分。

 調査をしているうちに、晴れ間が出てきました。


ひとまず、天気はもちそうです。

 一通り地層を見たところで、サンプリングです。高橋聡先生に手伝ってもらいながら、急ぎます。なぜなら、翌日以降の天気が怪しく、また来られるかわからないからです。


協力してサンプリング。

 一緒に調査するのは久しぶりですが、コンビネーションは抜群。ホントですよ。

 サンプルを採っていて気付いたのですが、日本と違ってここにはフナムシがいません。Arrow rocksサイコー!

 しかし、日本と同じで潮は満ちてきます。


潮との戦いは万国共通。

 2枚前の写真と比べてください。もうこんなに上がってきてしまった。もう少しサンプル採りたかったのに…

 露頭が海に覆われてからは、釣り船がくるのを待ちます。


救助を待つ漂流者たち。

 行きと同じく、ボートで船まで往復しながら戻りますが、帰りは波が高く、ボートを操縦する船長以外に1人しか乗れなかったので、全員を船に収容するまで40分かかりました。


めちゃくちゃ揺れながらボートを見守る。ボートの小ささがわかるでしょうか?

 一番最初に船に戻って待っていた私は揺られ続けていささか酔いました。


 おっと、ずいぶん長くなってしまいましたね。続きはまた次回。

 ちなみに、もう既に帰路に就き香港にいます。が、もうしばらくニュージーランドシリーズで引っ張ろうと思います。

 はたして、残りのサンプルはとれたのか?

 それでは、ごきげんよう、さようなら。

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