2012年10月29日月曜日

ICDP Training course 2012 参加報告

高橋さとしです。アメリカに行ってきた報告をします

2012年10月14 日から19日まで5日間、アメリカのミネソタ州ミネアポリスにミネソタ州立大学の湖の掘削コアの研究施設Lac coreにおいてICDP Training course が開催されました。当初はマケドニアで行われる予定でしたが、掘削作業の事故などが理由でアメリカに開催地が変更になったそうです。

10月のミネソタは、朝は数度に冷え込み、出発した東京との温度差に最初は慣れませんでした。
一番びっくりしたのは、初日がミネアポリスの”ゾンビ祭り”だったことです。空港からホテルまで、電車に乗ってくる人、街を行き交う人、みんなゾンビでした。映画バイオハザード状態です。



今 年のコースには各国から名の参加者がありました。今回のコースは、ICDPが取り組む陸上掘削のなかで湖の底に堆積した湖底堆積物の研究に関わる物でし た。掘削研究の計画や機器設備、コアの研究や、公表の方法などといった幅広い範囲のレクチャーを行うものでした。レクチャーは大学近くにホテルのセミナー 室で行われ、中日には掘削試料の管理・研究設備を見学しました。講師陣はGFZ ポツダムの研究者がメインで、若手の研究者の研究例の紹介や実習もあった。湖底堆積物の研究に関わる一連の流れがレクチャーが展開されたが、特にこのコー スを特徴づけているのは,いかに科学的なアイディアを実際の掘削につなげるのか,というところに重点が置かれているところである.これはただ単に研究者と して科学掘削で得られる試料・データを解析するという事だけではなく,実際にプロジェクトマネージャーとして掘削計画を立案・運営して行く上でどのような 事を想定し,行動して行くかということを含んだ講義内容である.受講生は、掘削堆積物を扱う研究者が主で、実際に掘削活動を展開している若手研究者、今後 自ら掘削活動を行いたたいという院生で構成されていました。講師、受講生の距離がとても近く、円卓を囲んでレクチャ中に質問や議論をしたり、それぞれの研 究の状況や展望をコーヒータイムや懇親会などで語り合い、楽しい時間を過ごしました。






初 日はイントロダクションと自己紹介のスピーチに続いて、ICDPと関連組織の構成について紹介がなされ、使用される機器や技術の説明がなされました。2日 目はLacCoreで実際に行われているコアの管理や研究の様子について話された後、これまでの湖底堆積物コアを用いた研究例を紹介して頂きました。これ らのレクチャーには、実際のデータを使って地震波探査による湖底断面をみて目的に合ったコアサイトを議論したり、コアの半割面写真を使って層序対比を行 い、掘削深度を求めて班で発表する実習が行われました。実際に実習を行ってみると分かったところとそうでないところが明確になり、湖初心者の筆者はかなり 周りの参加者を質問攻めにすることになってしまったがとてもよい経験となりました。

  中日には、ミネソタ州立大学のNational Lacstarine Core Facilityを見学しました。各班に分かれて、コアのデータベース管理、スミアスライドラボ、Uチャンネルを用いたサンプリングや帯磁率・色測計測定 の設備を見学し、情報を交換させて頂きました。現在、私が所属している研究室との作業工程や用具の違いがありどちらをとるべきか興味深く1日を過ごしまし た。





  最終日は半日のみでありましたが、掘削のための資金を集める工夫やプロポーザルの効果的な書き方、アウトリーチの仕方について講演が行われました。
講 義の内容は、初歩的なところを広く触れたことにとどまると思います。それぞれの項目について詳細を学ぶ事は出来ませんでしたが、多くのことをこれから学 び,実行していくきっかけをもらったように思います。本コースの目的である掘削科学の立案から実行までという事を考えると,よく考えられた内容であったと いえるでしょう。また,各国からの参加者との交流が大きな収穫でした。時に日が変わるまでに及んだ参加者同士の交流とできた友人は、私の今後の研究人生の 財産となりそうです。

 写真は空港で別れを惜しむメンバーの図です。出国ぎりぎりの時間、ゲートまで着いてきてくれました。



 掘削研究は、多くの人足と技術、資金を要する複雑なものです。このようなトレーニングコースから準備・掘削・分析・試料管理までを一度に学べる機会は,非常 に有意義であると思います。今後もこのようなセミナーが開催されることを期待しています。今年は、津波堆積物や水月湖の第四紀研究などの研究成果が大きく 取り上げられ、日本の湖堆積物の注目が集まる年となりました。これからの研究者の育成、成果の維持のためにも、できるだけ毎年日本からの参加者が参加する ようにこのような企画の情報を広く周知していくことが望ましいと思います。

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